スペシャルティコーヒーって何?その基準や特徴とは。簡単に解説します!

近年、コーヒー専門店やネットでもよく目にする「スペシャルティコーヒー」という単語。
コーヒーをよく飲まれる方でも普通のコーヒーとは何かが違うんだろう、特別なコーヒーなのかな?と漠然と思っている方が多いんじゃないかと思います。

かくいう私も、普段からスペシャルティコーヒーをよく買ったりするにも関わらず、厳密には理解していなかった一人です。

今回は、私自身の勉強を兼ねて改めて学んできましたので、ビギナー目線で分かりやすく説明していきますね。

Index(目次)

スペシャルティコーヒーとは

コーヒー豆のグレード・分類

スペシャルティコーヒーというのは、コーヒー豆を分類するための用語です。
世界に流通しているコーヒー豆を種類と流通量で大きく分類すると、下のようなピラミッドで表せます。

上から順に世界的「流通量」と簡単な説明をすると、

スペシャルティコーヒー

流通量5~7%
高い基準を満たす、選ばれたコーヒー。

プレミアムコーヒー

流通量10%
スペシャルティコーヒーの基準には満たないが、産地が限定された特殊なコーヒー。例えばブルーマウンテン、キリマンジャロなど。

コモディティコーヒー(コマーシャルコーヒー)

流通量50%
最も一般的に流通・消費されているコーヒー。スーパーなど量販店でも販売されています。一番なじみのあるコーヒーですね。

ローグレードコーヒー

流通量30%
缶コーヒーやインスタントコーヒーなどに使用されることの多い、安価なコーヒー。

となります。全体からするとスペシャルティコーヒーの流通量、思ったより少ないですよね。
今ではよく見かけるワードですし、私自身、カフェでも自宅でもスペシャルティコーヒーを当たり前に飲むことができるのが普通な感覚でしたから、今回でその名の通り「特別な」ものだったんだと考えを改めました。

スペシャルティコーヒーの定義

さて、そんな流通量の少ない特別なスペシャルティコーヒーコーヒーですが、どのような基準で判定されているのでしょうか。
国によって少しずつ違うらしいのですが、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)によると、スペシャルティコーヒーとは、

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)

と定義されていました。「美味しさ」「美味しい」って2度も出てきましたね。

やっぱり美味しいコーヒーのことじゃん!

ここだけ見るとまだ曖昧で、美味しければスペシャルティコーヒーと言っていいのか?となりそうですね。
ですが、そこはやはりもう少し具体的な基準があります。味だけにフォーカスすれば、確かに「美味しいコーヒー」なのですが、

①そもそも「美味しい」とは何か。
②「味以外」の基準は何か。

というところをもう少しだけ掘り下げていきたいと思います。

美味しいコーヒーとは

スペシャルティコーヒーは美味しくなければならないというのはわかりました。でもここで私は思いました。

美味しさって人によりますよね?みんなが美味しく感じるとかあるのかな・・・

そこで、SCAJは評価基準を設けています(世界でも同じような基準があります)。要は当前とえば当然で、主観ではなく一定の基準を満たすものが「美味しい」という訳です。
現在は下のような項目で採点され、100点満点中80点以上を満たしたものだけがはじめてスペシャルティコーヒーと言えるようです。

  1. カップ・クォリティのきれいさ
  2. 甘さ
  3. 酸味の特徴評価
  4. 口に含んだ質感
  5. 風味特性・風味のプロフィール
  6. 後味の印象度
  7. バランス

この項目それぞれにも見るべきポイントや評価があるのですが、正直に言って文言では良くわからないですし、難しくなってしまうので、ここでは割愛しますね。もしご興味ある方はSCAJのホームページからご確認ください。

分かりやすく一言でまとめるとすれば、
トータルでバランスのとれたコーヒー」であることです。酸味・渋みが強すぎたり、香りが弱いなど、一点だけ何かが強すぎても弱すぎてもスペシャルティコーヒーとは認められないようです。

味わい以外のポイント

スペシャルティコーヒーと認定されるためには、美味しいだけでいいのでしょうか。ここについてもSCAJはこんなことを言っています。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup

具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。

日本スペシャルティコーヒー協会は、生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、スペシャルティコーヒーの要件として、サステナビリティとトレイサビリティの観念は重要なものと考える。

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)


では、具体的にこのSCAJの文面の中から、スペシャルティコーヒーと認められるための基準となるキーワードを少しピックアップしてみましょう。

サステナビリティ

日本語で言うと「持続可能性」です。コーヒー業界問わず、今では一般的に聞かれる言葉ですよね。
実は、今でこそ当たり前に飲まれているスペシャルティコーヒーですが、その生産背景では今でも、

・気候変動による影響
・さび病による生産阻害
・アジア圏の消費の拡大
・最大生産国ブラジルの増産による価格変化

など様々な問題を抱える、不安定な農作物なのです。
気候変動によって、2050年にはコーヒー豆(特にアラビカ種1)の生産量は大幅に減少されると試算されていて、需要も大きく上回り、今のようにコーヒーが飲めなくなるのではないかとも言われています。

  1. 全コーヒー生産量の70~80%を占める。 一般に風味、香りとも優れており、コーヒー消費の主流↩︎


また、コーヒーの生産者の大部分は、2ha程度の農地(東京ドームの半分程度)でコーヒー豆生産をしている小農家さんだそうです。
こういった小農家さんが生産する豆にスペシャルティコーヒーという規格があることで、ほかの大量生産の豆と差別化・共存でき、コーヒー業界が永続できるというわけです。

不安定だからこそ農家さんを守り、コーヒー産業をを発展・持続させるためにスペシャルティコーヒーは無くてはならないんですね。

トレーサビリティ

日本語で言えば「追跡可能性」です。コーヒーがどこで、誰が、どのように作られ、消費者にどのように届くかを明確にするのが「トレーサビリティ」と呼ばれるものです。

コーヒーが生産され、消費者である私たちの手に届くまでにはとても多くの人が関わっています。ざっと挙げると

・生産農家
・輸入業者
・流通業者
・焙煎業者
・販売業者

といったように、多くの人・工程が存在しています。

SCAJの文章にもあるように、美味しいスペシャルティコーヒーであるためには豆からカップまで(From seed to cup)、一貫した管理・輸送・保管が求められます。
そして安心して美味しいコーヒーが飲むことができるために、消費者の手に渡る際には、具体的に次のような項目が明示されている必要があります。

・生産国・地域
・農園名
・収穫後の処理方法(ナチュラル・ウォッシュドなど)

どこで、どのように、誰が作ったかという「透明性」があること。

私がつくりました!っていう野菜などの農家さんのあれと似てますね!


こういった厳格な品質管理の下で提供されるコーヒーだけがスペシャルティコーヒーを名乗れるという訳です。

まとめ

いかがだったでしょうか。今では日常的に見かけますし、手軽に飲むことができるスペシャルティコーヒーですが、その中身や基準を紐解いてみると、
味わいだけでなくコーヒー産業や環境の未来、生産者や消費者に対しての思いが込められていて、私個人的には言葉だけではない「感情」を感じられました。

今後焙煎豆販売やカフェ開業を目指していく身として、今回改めて業界や抱えている問題や取り組みを知ることができたことがすごくうれしいです。

今回はエッセンスだけなるべく簡潔に書きましたが、調べる中で分かってきたことや得たこともたくさんありました。
・コーヒー文化の歴史(始まりやムーブメント)
・フェアトレード
・スペシャルティコーヒーの販売店や楽しみ方
などなど、また折を見て共有していきたいと思いますので、ぜひお楽しみに。

最後までお読みいただきありがとうございます。それではまた。

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