コーヒーが好きな人にとって、毎日のコーヒーは欠かせないものですよね。
朝の目覚めに、集中したいときに、ホッと一息したいときに。本当に日常と切っても切り離せない飲み物だと思います。
ですが、それだけ多く飲まれるコーヒーだからこそ、カフェインの取りすぎやコーヒーを飲む時間帯を気にされる方も多いと思います。この記事ではカフェインと上手に向き合うために、
・カフェインってそもそも何?
・コーヒーのカフェイン量と、1日の摂取目安
・カフェインレス、デカフェ、ノンカフェインなどの違い
・カフェインレスコーヒーはどうやって作っているのか
など、皆さんが安心してコーヒーを飲むことができ、コーヒータイムを楽しめるように説明していきますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
カフェインとは
カフェインってそもそも何?
カフェインはコーヒー豆・茶葉・カカオ豆など植物に含まれる成分のひとつで、アルカロイドに属する化学物質です。もともとは植物が昆虫に食べられないようにするために作られた物質のひとつと考えられています。
植物が自分自身を守るために作り出したものなんですね!
カフェイン摂取による主な効果といえば、「覚醒・興奮作用」があると言われています。
眠い時にコーヒーを飲んで目を覚ますというのも、カフェインが持つ作用からですね。これはカフェインが脳内の興奮を抑える「アデノシン」という物質の働きをブロックするためです。
他にもカフェインには、痛みを抑える「鎮痛作用」、倦怠感を取り去る「疲労回復」効果などもあり、そのためカフェインは風邪薬や頭痛薬などの医薬品にも用いられています。
またそれ以外にも、脂肪燃焼効果や、がん・認知症予防などにも効果があるのではないかと言われているようです。
カフェインには、脂肪燃焼効果があることがわかっています。
コーヒーと運動の組み合わせで、代謝が向上し、脂肪を燃焼して熱に変える働きがあります。一方でコーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれ、強い抗酸化作用があることがわかっており、肝がんや認知症予防などの効果も期待されています。
大正製薬(製品情報サイト)
このようにカフェインには適切に状況に応じて摂取すれば、体にとってとても良い効果が得られる成分だと言えます。
カフェインの適切な摂取量は?
その一方で、カフェインは過剰に摂取すると体に悪影響があるとも言われています。
私個人的な感覚としても、カフェインを取りすぎた日には緊張感が増したり、寝つきが悪かったり、倦怠感を感じることがありますね。
農林水産省のホームページでも、カフェインの過剰摂取には以下のような注意喚起をしていました。
カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。
農林水産省HP
では、具体的にカフェインはどのくらいまでなら1日の中で摂取しても大丈夫なのでしょうか。
世界の基準
- ・米国(アメリカ)
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米国食品医薬品局(FDA)は、健康な大人では、1日当たり400 mg(コーヒーでは4~5カップ程度)までであれば、カフェインによる健康への危険な悪影響はないとしています。ただし、妊婦、授乳婦、妊娠予定の方や服薬している方は、カフェインの摂取による影響を受けやすくなる場合があるため、かかりつけ医に相談することが推奨されています。
- ・欧州(ヨーロッパ)
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欧州食品安全機関(EFSA)は大人では、習慣的なカフェイン摂取に関しては、妊婦を除く大人では1日当たり400 mgまでであれば健康リスクは増加しないとしています。
というように世界では日常的なカフェイン摂取に関しては、「1日あたり400mg」を目安に基準を設けているようです。
オーストラリアやニュージーランドなどはさらに少ない基準になっているようです。
日本の基準
では、日本はどうでしょうか。
結論から言うと、日本では明確な基準や具体的な摂取量の目安は示していません。農林水産省のほか、各省庁は上のような海外のガイドラインに沿って過度な摂取をしないよう呼びかけているようですね。
コーヒーに含まれる量はどのくらい?
さて、1日の摂取目安はわかりましたが、実際にコーヒーにはどのくらいのカフェインが含まれているのでしょうか。
全日本コーヒー協会のデータによると、コーヒー100ml中に含まれるカフェイン量は60mgとされています。
小さめのコーヒーカップ1杯が120ml程度とした場合、1杯あたりに含まれるカフェイン量は約70mgとなります。マグカップなどになると200mlを超えてくるでしょうから、120mg以上になりそうです。
上の基準に照らし合わせると、やはり数字上はコーヒーは一日3杯から4杯くらいが適切な範囲ということになりそうですね。
ただ注意が必要なのは、カフェインが含まれるのはコーヒーだけではないということですね!ほかの飲み物や食品にも含まれているため、トータルでの摂取量では基準を超えてしまう可能性があります。
コーヒーがおいしいからと言って、何杯も継続的に飲み続けるのはもしかすると体には悪影響が出る可能性はあるのかもしれませんね。
でもコーヒーが好きだから、もっとたくさん飲みたいです!
という方におすすめなのが、カフェインを取り除いた処理をしたカフェインレス・デカフェ・ノンカフェインといったコーヒーです!カフェイン摂取を抑えながら、もっともっとおいしいコーヒーが楽しめるなら最高ですよね!
カフェインレス、デカフェ、ノンカフェインの違い
さて、ここからは本題の「カフェインレス」「デカフェ」「ノンカフェイン」と呼ばれる商品。それぞれに、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
カフェインレス
カフェインレスとは、もともとカフェインを含む原材料からカフェインを除去した商品のことを指します。コーヒーの場合、カフェインを90%以上除去したものを「カフェインレス」と表示できます。
デカフェ
デカフェとは「decaffeinated」の略で、もともとカフェインを含有する飲みものから、カフェインを取り除いたものがこれに該当します。もしくはあえてカフェインを添加しないものもデカフェと定義されます。
商品によっては0.2%程度の、ごくわずかなカフェインが含まれている場合もあります。
ノンカフェイン
カフェインを一切含まない、カフェイン0%の製品です。そもそもカフェインは含まれていない飲料です。ハーブティーやそば茶、トウモロコシ茶などがこれに当たります。たんぽぽコーヒーなどコーヒーのような味わいの飲料もあります。
まとめると
・カフェインレスとデカフェはほぼ同義。
・カフェインレスとデカフェは完全にカフェインが除去されているわけではない。
・ノンカフェインはそもそもカフェインを含まない素材の飲料を指す。
となります。ということは、ノンカフェインコーヒーというのはほぼ存在しないということになるのでしょうか。(要確認です)
また、カフェインレス、デカフェについて「全日本コーヒー公正取引協議会」は以下のように定義していることも付け加えておきます。
カフェインを 90 パーセント以上除去したコーヒーにあっては、「カフェインレスコーヒー」、「デカフェネィテッドコーヒー」等と表示する。
全日本コーヒー公正取引協議会
カフェインレスコーヒーはどうやって作られているのか
カフェインを取り除くというけれど、実際にどういった方法で含有されているカフェインを取り除いているのか、疑問ですよね。
カフェインレスコーヒーを作る方法としては様々あるのですが、大きく分けると3つあります。
①有機触媒抽出(ケミカルプロセス)
カフェインが溶ける薬品(ジクロロメタン等)でカフェインを失くす。安価な方法ですが、カフェイン以外の成分も一緒になくなってしまうので、味が悪くなることと、薬が直接、コーヒーの生豆に接触させるため消費者が安全面での不安を抱きやすいという短所があります。
現在はこの方法でデカフェ処理したコーヒーは日本国内での販売は禁止されているようです。
②水+有機溶媒抽出(ウォータープロセス)
コーヒー生豆を水に長時間浸し、水に溶け出した成分からカフェインだけを薬で失くし、残った成分をまた豆に戻すという方法です。有機溶媒が直接豆に触れないので安全性が高く風味の損失も少ない処理法です。
また、水からカフェインを除去する際に有機溶媒を使わない方法(スイスウォータープロセスやマウンテンウォータープロセスなど)もあり、こちらはより自然に近い安全性の高い処理です。
③超臨界二酸化炭素抽出
急に強そうな名前になりましたが(笑)
私も難しくて仕組みの理解ができなかったので、合っているかわからないのですが、
廃棄物を処理する過程で有害物質を除去し、無害化した廃棄物をリサイクルするために研究された技術が、デカフェ処理に応用されたらしいです。おそらく最も詳しく説明されているのが堀口珈琲さまのサイトだと思うのでご興味ある方は読んでみてください。
簡単に言うならば、二酸化酸素を使った安全かつ、味も落ちにくいカフェイン除去方法ですね。
こうして技術の進歩とともにコーヒー文化も変化していっているんだなぁとしみじみ感じました。
その他、そもそもカフェインが含まれないコーヒーの木の栽培も研究が行われているようですが、現在のところ非常に栽培が難しく、商品化には至っていないようです。これが実現すれば「ノンカフェインコーヒー」が販売されるということになりますね!
正しく知って、素敵なコーヒータイムを
カフェインレス、デカフェはもうメジャー?
カフェインレスは妊婦の方や、小さいお子さん、病気を抱えている方のためのものと思われていましたが、コーヒーの楽しみ方として、すでに当たり前の選択肢と言っていいのではないでしょうか。
実際海外ではパリの老舗カフェでもデカフェを提供していたり、LAのカフェでは数種類のデカフェを用意していたり、お客さんも好んでデカフェを注文する傾向が増えてきているようです。
特にアメリカでは日本人よりもカフェインに敏感な人が多いということも大きな理由かと思いますが、カフェインレスに対する認識もスタイルも大きく変わってきているみたいですね。
日本でもカフェインレスコーヒーの提供は増えてきましたよね。勝手な偏見かもしれませんが、カフェインレスコーヒーはおいしくない、味が薄いと思われていたように感じるのですが、
最近では技術の進歩めざましく、全く一緒とは言いませんが、ほとんど普通のコーヒーと同じ味わいで楽しめるようになっています。
コーヒー好きな皆さんにこそ、カフェインのことを知って一つの選択肢としてコーヒータイムをさらに楽しむきっかけになればうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。それではまた。