コーヒーは好きだけど、特に味の違いとかは分からない。
カフェに行っても、とりあえず「ブレンド」や一番上にある「定番そうなコーヒー」を頼んでませんか?
もちろんブレンドだって奥が深くて、そのカフェのこだわりが詰まっていますから間違いなくおいしいですし、それ自体は素晴らしいことです!
私自身もここ数年でスぺシャリティコーヒー・シングルオリジンが広く知られるようになってからも、しばらくはそういう感じでしたし。
でも服や映画だって好みがあるように、一度自分の好きな傾向を知ることができたら、そこから楽しみがもっともっと増えていきますよね!
それに好きなコーヒーの味を知れば、お店やネットで豆を購入するときも自分の飲みたい、失敗のないチョイスができると思います。
今回紹介する本は、
・コーヒーは好きだけど、味の違いはイマイチわからない。
・自分の好みのコーヒーを知りたい。
・カフェで好きなコーヒーを選んで注文したい。
・おうちコーヒーを始めたいけど、どこから始めればいいのかわからない。
という方に向けた本です。
私自身コーヒー関連の本は10冊以上読んでいますが、この本は入門書としてもおすすめですし、読み物としても楽しいので、今回紹介しようと思いました。
もっとコーヒーのことを知りたいけど、どの本を買えばいいのかわからないという方に参考になれば幸いです。
本の紹介
概要
著者 : 粕谷哲
出版社 : サンクチュアリ出版
発売日 : 2023/10/10
単行本(ソフトカバー) : 256ページ
著者について
著者である「粕谷 哲」さんは、2016年6月「World Brewers Cup 2016」にて日本人初の決勝進出と、アジア人として初の世界制覇を果たしたすごい経歴の方です。
その後もアジアや日本各地でワークショップを開催したり、メディア出演、Youtubeの活動などコーヒー業界で精力的に活動をされています。
また現在は千葉県船橋市でご自身の立ち上げた自家焙煎スペシャルティコーヒー店、株式会社Philocoffea(フィロコフィアを経営されていてます。
私もオンラインでコーヒー豆の購入を何度もしていますが、浅煎りから深煎りまでさすがのおいしさですよ!
そんな粕谷さんは動画やホームページでもおっしゃってますが、ご自身の病気きっかけで初めて入れたコーヒーは「とんでもなくマズいコーヒー」だったそう。そこからバリスタとなり、チャンピオンになるまでなんとたった3年!
粕谷さんは動画などを見ると結構飄々としている印象なのですが(笑)
プロフィールの中でこんな思いを語っています。
しかし、コーヒーが与えてくれたことは単なる世界チャンピオンという肩書きではなく、
https://tetsukasuya.com/philosophy
世界中の人とつながる力です。心を通わせる力です。
コーヒーには本当に魅力的な力があります。
コーヒーを通じて誰かと話ができるとか笑い合える、そんな力を持っています。
そして、
一人になれる時間もリフレッシュできる時間もコーヒーは運んでくれます。
私にとってコーヒーは人とつながるためのツールです。
単なる飲料ではありません。
この”コーヒー”を通じて、自分と向き合えたり、人と人がつながったりすることで、
その一杯の周りに幸せが増えていくことを信じています。
私がコーヒーに救われたように、私もコーヒーで誰かを幸せにしたい。
それが私の使命です。
ご自身のコーヒーに対するこの思いには、私自身も本当に感銘を受けていて、僭越ながら私が人生で思ってきたこと、これから伝えたいことと同じだ!と思いました。
本のポイント
さて、そんな粕谷さんが書いたこの「図解 コーヒー一年生」はコーヒーが好きだけど、細かいことはよくわからない。そんな人が、
「コーヒーのことがなんとなくわかった気になる本」です。
私が読んでみて、よかった・おすすめしたいと思ったポイントは大きく3つです。
コーヒーを飲みたい気持ちにフォーカスしている
1冊通して、知識の押し付けのような難しいことは全く書いていません。
読んでいる人がどんなコーヒーを飲みたいのか、どんな気持ちになりたいのか。そこからスタートします。
コーヒーなら何でも好き。とりあえず飲みたいならスーパーで市販の豆を購入するでもいいんです。
そこからもっとおいしいコーヒーを飲みたいと思ったら、ここから始めてみたらいいんじゃない?という読者に寄り添って、順々に優しく教えてくれるような内容です。
例えば、まずはスーパーで市販の「ブレンド」を買って入れてみる。
焙煎の好み、自分の好きな味を知っていって、慣れてきたら量販店でブレンドではない産地別の「ストレートコーヒー」を買って飲んでみる。
物足りなくなって、もっとおいしい特別なコーヒーを飲みたくなったらコーヒー専門店で「シングルオリジンコーヒー」を買ってみる。
というように、あくまでコーヒーを好きになってもらうために、導いてくれるような構成ですね。
Youtubeなどを拝見すると、粕谷さんは私の感想としてはかなりの理論派だと思うのですが、根底にあるのはやっぱりコーヒーをもっと好きになって、幸せになってほしいという「気持ち」なんだと改めて感じました。
産地を擬人化。イラストや漫画で分かりやすい構成
特徴的なのは、産地ごとの特徴をイラスト(キャラクター)で表現していることですね。
コーヒー豆の産地による味の違い。これがコーヒー入門者を困惑させる第一関門かなと個人的にも思っています。
例えばコーヒー専門店やこだわったカフェに行くとこんなことが書いてあります。
・ブラジル(中深煎り)
・グアテマラ(中煎り)
・エチオピア(浅煎り)
これなら産地だけなのでまだいい方です。もっと専門的になると、
・エチオピア グジ ウラガ G1 ナチュラル ハイロースト
・エチオピア イルガチェフェ イディド ウォッシュト ライトロースト
呪文ですか?何が違うん?
って感じですよね。1つ1つを紐解くと産地・地区・精製方法・焙煎度など、必要なことが書いてあるのですが、まぁコーヒーの味や香りが好きで飲んでいるだけの人からすると意味不明かと思います。
私自身もようやく国の違いくらいは徐々に分かってきましたが、正直言ってまだ細かくは説明できません。
ですが、この本の中では表紙にもあるように、産地ごとの特徴や傾向をイラストでキャラクターの個性として表現していて、視覚的に記憶に残るのですごく面白いんですよね。
例えば表紙の一番上の男の子は「グアテマラ」くん。中米を代表するコーヒー豆の産地ですが、
仲間思いのやさしい優等生。
引用;図解コーヒー一年生
カラメルやチョコレートのような濃厚なコク。
というコメントで紹介されていたり。
イラストもかわいいですし、もちろんもっと細かい説明も書かれていますので、まさに「推しコーヒー」を探すのにうってつけじゃないかと思います。
コーヒー雑学も豊富
入門書として最適な本書ですが、さらにコーヒーにハマった人に向けても、深い雑学や知識が豊富にちりばめられているのもうれしい点です。
例えば
・チャンピオンのコーヒー抽出方法(4:6メソッド)
・器具にこだわってみる(グラインダー、ケトルなどなど)
・コーヒー豆の品種を学ぶ(ゲイシャ・ティピカ・ブルボンなどなど)
・コーヒーの生産処理の違いを楽しむ(ナチュラル・ウォッシュトなど)
といったように、解説をしながらコーヒー沼にはめてくれます(笑)
「オリジナルの抽出レシピ」も多数公開されている点もこの本を購入する大きなメリットなのではないでしょうか。
深煎りならこれがおすすめ!とか、アイスコーヒーはこう入れる!とか、この器具はこう使う!とか本当に研究熱心な粕谷さんならではのレシピで、きっとお気に入りが見つかると思いますよ。
そのどれもイラスト付きで分かりやすいのは、他の参考書にはない部分ですね。
コーヒー好きは手元に置いておきたい一冊
コーヒーの参考書や書籍は多数出版されていますし、もっと深く理論などを学べる本もあります。
そのなかでもこの「図解コーヒー一年生」は言葉を選ばす言うと、私は一番「取っつきやすい」本だと思っています。
コーヒーは好きだけど、もうちょっとだけ贅沢してみたい。もう少しコーヒーのことを知りたいという方には心からおすすめできますので、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。それではまた。